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ダクト火災対策のプロが焼肉屋を中心とした飲食店のダクト火災件数を分析

  • 無煙ロースター飲食店の火災件数はどうなっているのか?
  • 焼肉屋のダクト火災件数は?
  • 事実やデータを元にしたダクト火災対策方法は?

上記の疑問を抱えている方の悩みを解決できる記事になっています。

この記事で使用しているダクト火災件数のデータは「東京消防庁」からのデータになります。

日々、火災と向き合っている公的機関からの情報のため信用度が高く

ダクト清掃を行っている者としてもかなり参考になります。

この貴重なデータを元にダクト火災対策のプロとしての目線で解説していきます。

 

記事の前半では飲食店全体のダクト火災件数や厨房ダクトの出火原因に関してを解説し、

記事の後半では焼肉屋に絞ったダクト火災件数や、

火災に繋がった肉の種類のデータなどを用いて解説していきます。

 

この記事を読み終えると

  • 数字を元にダクト火災対策に関して考えられる
  • ダクト火災件数の客観的な情報により、自分の間違いに気付ける
  • 焼肉経営している仲間に注意喚起できる

のような知識を得られます。

客観的な情報を取り入れたダクト火災対策を

とれるようになります!

 

飲食店の火災件数はどのくらいなのか?増えているの?減っているの?

全体の火災件数は下がってはきていますが、飲食店の火災件数は増えています。余裕を

このデータを見て分かることは飲食店の火災件数は増加傾向にあるということです。

つまり、

「自分の店にも火災は起こり得ることを認識し、気を引き締めるべきだ」と

上記のデータが示しています。

 

最近は新型コロナの影響により、飲食店の自粛要請などで

火災件数自体は減っていると思います。

それはいいことなんですが、見せかけの数字です。

 

外食をみんな我慢している状況なので

制限がなくなれば、我慢していた人たちがお客様として流れ込んでくることは

予想ができます。

 

ということは

厨房や七輪や無煙ロースターを使う機会が増えて

ダクト火災の危険も増える可能性も高いです。

 

新型コロナ禍ではない直近の飲食店火災件数のデータだと

「飲食店の火災は増えてるんだ」という認識を持ってい頂ければ幸いです。

 

東京消防庁の調査の結果、厨房ダクト火災の出火原因は○○が多かった

厨房ダクトでの火災で一番多い出火原因は「放置する・忘れる」です。

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居酒屋などの飲食店で働いた経験があるので分かるんですが

現場はとてもマルチタスクで忙しすぎる状況で

コンロの消し忘れの一つ二つはあってもおかしないです。

 

「忙しいから仕方ないじゃないか!」という気持ちはとても分かりますが

厨房ダクトの出火原因で一番は「放置する、忘れる」なので

「仕方ない」で終わらせずに対策をするべきです。

 

「コンロを離れる時は必ず消す」

「大きな音が鳴るアラームをセットする」

「コンロがつけっぱなしをみたら消すようにバイトの人に指示をする」

等々、思いつくところから対策してみてください。

焼肉屋に絞ったダクト火災件数の分析

焼肉屋さんに絞ったダクト火災に関するデータを分析します。

正直なところ、焼肉屋のダクト火災に関してここまでのデータが存在するとは驚きでした。

焼肉屋オーナ様にはぜひ把握して頂きたい内容になっていますので

最後まで読んでいただければ幸いです。

無煙ロースター等、焼肉関連器具の種類別のダクト火災件数

東京消防庁管轄内で平成元年から平成30年の30年間のデータになります。

焼肉屋に絞ったデータになり、焼肉関連器具の種類別でグラフ化されています。

 

無煙ロースターは焼肉業界にとって革命的なもので多くの焼肉店で使用されています。

しかしながら、清掃や点検を怠るとダクト火災のリスクが上がります。

上記のグラフをみると、平成12年以降から無煙ロースターで起こっており

一番多い年で23件(無煙ロースター、無煙ガスロースター)も出火している事実が確認できます。

年々焼肉屋が増えていっていますが、出火件数も増えていく現状は注意すべき点です。

無煙ロースター等、焼肉関連器具の種類別のダクト火災を起こしてしまった損害程度

東京消防庁管轄内で平成元年から平成30年の30年間のデータになります。

焼肉関連器具の種類別に火災が起きた損害程度をグラフ化しています。

ぼやの数が無煙ロースターに多いことも気になりますが、

注目するべきところは無煙ロースターの「部分焼け」の比率が高いことです。

七輪コンロとガスロースターの「部分焼け」の比率と比べると一目瞭然です。

 

七輪コンロ

火災総数=122件

部分焼=22件

部分焼け比率=約18%

 

ガスロースター

火災総数=57件

部分焼=10件

部分焼け比率=約18%

 

無煙ロースター

火災総数=65件

部分焼=30件

部分焼け比率=約46%

 

無煙ガスロースター

火災総数=197件

部分焼=68件

部分焼け比率=約35%

 

無煙ロースター関連が約35%~46%。

なぜ、こんな結果になるかというと、

無煙ロースターを導入している店舗は

ダクトまで火が燃え移るリスクが十分に可能性があるからです。

 

簡単に説明すると、

無煙ロースターが火のついた油を吸い込んでしまう

ダクト内に火が燃え移る

ダクト内に無煙ロースターが吸引した溜まった油に引火

このような流れでダクト内に火が燃え移ります。

ダクト清掃をしっかり行っておけば、このリスクは回避できます。

焼肉屋で火災が発生した月件数

東京消防庁管轄内で平成元年から平成30年の30年間のデータになります。

月ごとの焼肉屋の火災件数をグラフ化しています。

忘年会シーズンの12月と、会社の送別会、新年会シーズンの3月、4月は

お客さんが多く、コンロが使われる頻度が高いので

ダクト火災が起きているということがデータから読み取れます。

焼肉屋でダクト火災の発生した時間件数

東京消防庁管轄内で平成元年から平成30年の30年間のデータになります。

時間ごとの焼肉屋の火災件数をグラフ化しています。

火災の発生数は一番忙しい18時~22時の間に集中しています。

月ごとの件数でも一番忙しい時期に火災件数が増えていたので

忙しい時期ほど、

忙しい時間ほど、

ダクト火災に気を配らないといけないということを

頭の片隅に入れておいて頂きたいです。

焼肉店の上引きダクト火災の原因になった肉の種類

東京消防庁管轄内で平成 27 年から平成 30 年までの4年間に発生した

焼肉店の上引きダクト火災(45 件)の

火災が発生した際に焼いていた肉の種類のデータになります。

この円グラフからホルモン、豚肉で火災が発生していることが読み取れます。

比率的にはホルモンが約29%、豚肉が約58%になります。

豚肉の場合は豚トロが燃えやすいので注意が必要なところです。

 

豚トロやホルモンを運ぶ際は

氷もセットで運んで、炎が出た時に使ってもらうよう

一言伝えてから食事を楽しんでもらうといった対策をとる必要があります。

 

焼肉店の上引きダクト火災での火気器具から排気取入口までの距離

東京消防庁管轄内で平成 27 年から平成 30 年までの4年間に発生した

焼肉店の上引きダクト火災(45 件)の

コンロから上引きフード(無煙ロースターの排気取入口)の距離のデータになります。

この円グラフからは無煙ロースターとコンロの距離が長ければ長いほど

ダクト火災が起こる件数が低くなることが読み取れます。

30cm以上の距離から著しく火災件数が低くなるので

無煙ロースターとコンロの距離を30cm以上に保つことがダクト火災対策になります。

 

ダクト火災の件数データから分かるのは、余裕を持ったダクト火災対策が必須であること

飲食店全体の火災は増加傾向にあります。

「自分のところは大丈夫だろう」という安易な判断で

対策を怠ることはあってはならないです。

 

焼肉店の場合は

忙しい時期に忙しい時間帯に

ダクト火災が起きるという状況でした。

つまり、余裕をもった対策が不可欠です。

 

ダクト清掃はもちろんですが

コンロの周りに加熱物を置かない。

豚肉、ホルモンを持っていくときは氷も一緒に持っていく。

無煙ロースターとコンロの距離を30cm以上あけるようにする。

こういった対策をとっておくだけで

ダクト火災が起きる確率グッと減るかと思います。

 

>ダクト火災を防ぐには1年に1回の清掃が基本です

ダクト火災を防ぐには1年に1回の清掃が基本です

ダクト火災に繋がる主な原因は
清掃を放置したダクト内やグリスフィルターの油の汚れです。
ガスの付けっぱなし等で人為的なミスをしてしまったとしても
グリスフィルターやダクト内に油がなければ
引火する確率は大幅に下がります。
不明点や不安があればお気軽にご相談ください。